台本:シーズン2 前編「継承」

メタ情報

項目内容
対象成果物ファスト映画紹介 / YouTube公開
使用ストーリーシーズン2全体概要
元素材YouTube自動文字起こしデータ
主人公セルーソ / 白取(父)
時代現代(フレーム)→ 1980年代バブル期〜1990年代
テーマ継承

シーン一覧

【シーン1】  現代:XTOKYO             — 蛯沢と白取の問い
【シーン2】  現代:ロッシの墓          — 藤岡四郎(ロッシ)の墓参り / 概念セルーソを想う
【シーン3】  回想:1980年代 ラマージュ — セルーソ(GACKT)の来日 / 成田代表との出会い
【シーン4】  回想:ラマージュ日常      — 白取父の哲学「謝罪の白取」
【シーン5】  回想:ドレスコード導入     — セルーソの献策
【シーン6】  回想:遠藤事件            — セルーソの締め上げ / 白取への忠誠
【シーン7】  回想:女性同伴条件導入     — 白取父のアイデア
【シーン8】  回想:バブル絶頂期        — VIP・芸能人 / 業界の神
【シーン9】  回想:成田代表の引退       — ブローチの継承 / 白取が代表に
【シーン10】 回想:セキュリティ導入     — フェリックス / ロッシ登場
【シーン11】 回想:ロッシの過去         — 正義の執着 / 白取の言葉
【シーン12】 回想:白取の引退           — 館山との出会い / 腕時計の継承
【シーン13】 現代:XTOKYO             — 蛯沢の父親の話 / 継承の完成

シーン別構成

シーン1:現代 XTOKYO

場所:XTOKYO 店内(営業後のカウンター) 登場蛯沢, 白取, たけし

NAR(ナレーション/白取の心の声):

去年入ったこの世界。先輩たちの話を聞けば聞くほど、どうしても気になる人物がいた。

会話:

たけし:蛯沢さんにも師匠的な方はいらっしゃったんですか? 蛯沢:まあ、今だって現役としてやってるセキュリティはいるぜ。 たけし:え、当時最強のセキュリティとか言われてたな。 蛯沢:ま、俺からしたら今もだが。 たけし:え、今もマジっすか? え、その方はどこに? 白取:もう単刀直入に——セルーソって誰なんですか? 蛯沢:———— たけし:あ、や、さっきセルーソの友達——あ、これ聞かなきゃ——

蛯沢、グラスを置く

蛯沢:そういえば——去年聞きそびれたな。


シーン2:現代 ─ XTOKYO → ロッシの墓

場所:XTOKYO 店内 → 霊園 藤岡四郎の墓前 登場蛯沢, 白取, たけし, ビシャ

XTOKYO 店内

白取:——セルーソって誰なんですか? 蛯沢:ちょうどいい。今日そいつのとこに飲みに行く予定だったんだ。お前らも来るか? たけし:え、会えんの? そんな僕からしたら大師範じゃないですか? 絶対行きます。 白取:何やら面白そうなので、もちろん僕も行きます。

カット:霊園 入り口

白取:着いた——え、ここ—— たけし:ここに最強のセキュリティが——

墓前に先客——ビシャが立っている

蛯沢:お、あんたも来てたのか。 ビシャ:元々私の店、すぐそこだったね。 あ、ちょくちょく飲みに来ていただいてる。 ビシャだよ。どうも。 蛯沢:こいつらに会わせようと思ってな。 ビシャ:そうか—— 蛯沢 ちなみにこの人セルーソ、 たけし:え—— 蛯沢:正確には——(この人)も、だが

たけし:——それで師匠っていうのはどちらに—— 白取:ば、ばかっ、、どう見ても、、、 画面テロップ:「藤岡四郎(ふじおか しろう)の墓」 蛯沢(墓を見て):俺の師匠だ。

蛯沢:お前的に言うと——え、アホだよな。本当に—— たけし  てっきり生きてるのだと。今でも模範としてるし最強だとおっしゃってたので——

蛯沢: 俺の中で生き続けてる。何もスピリチュアルな話じゃねえ。優秀なやつほど——さらに上にお手本みたいなやつがいて。そいつならどうするか考えて行動するって言うだろ。 たけし:はあ—— 蛯沢:お前らも実は気づいてないだけで——誰かしらの意思や思いが受け継がれてるんだぜ。つうかそうやって人類は歩み続けてきたんだしな。俺が自分で迷った時、わかんねえ時は——常にこいつに問いかけてる。だから俺の中で生き続けてるんだ。 白取:———— 蛯沢(墓に向かって):暇があればこうやって一緒に飲んでんだよ。近況も兼てな。 ビシャ:——ああ。 回想シーン(バーでの会話) 蛯沢:また一緒にジャスハイ飲みてえな。 **黒澤:——いつでも行けるだろ。 蛯沢:そうだな—— 白取(墓を見つめて):——これのことだったのか。


シーン3:回想 1980年代 ラマージュ

場所:ディスコクラブ「ラマージュ」 時代:1980年代 バブル絶頂期 登場セルーソ(GACKT), 成田代表(江口洋介), 白取父(染谷将太)

画面テロップ:「1980年代 バブル期 六本木 ラマージュ」

ラマージュ店内——熱気と音楽、ひしめく客たち カウンター奥——成田代表とセルーソ

成田代表:セルーソ、ちょっと来い。 セルーソ:はい、座れ。失礼します。 成田代表:ドレスコードの件、ありがとうな。 セルーソ:—— 成田代表:とぼけんな。お前なんだろ? なめんなよ。 セルーソ:意味わかります。要件はそれだけですか?

成田代表:俺はもっと上に行く。この店の次なるフェーズは何だと思う?

セルーソ:さあ、私には——  成田代表:VIPの確保だ。正確には——歌手や俳優、ま、芸能人ってとこだな。彼らは金遣いが桁違いですからね。


シーン4:回想 ラマージュ 日常——白取父

場所:ラマージュ フロア 登場白取父, 遠藤(賀来賢人), 梶原兄(菅田将暉)

遠藤:白取っています。なんていうか、その——そういうタイプもいるんですね。 梶原兄:へ? いや、ま、確かに僕くらいかな。俺、体育会系だったんでなんか倒せそうというか——え、ま、仲良く—— 遠藤:白取、いっぱい戦——あ、なんでそうなったんですか? 梶原兄:僕は犯罪者前だからね。

遠藤の回想モノローグ:

犯罪者前、用心棒なんてどこの店にもいないのに君を雇った理由を忘れたかい? ここにいる人は僕以外というか、基本ディスコの黒服なんて全員武闘派だからね。戦えるのさ。

遠藤(心の声):

あの普段優しそうな人らですら、舐めたお客さんや後輩がいたらボコボコにするんだし。もし君を見つけなかったら首になるところだったんだから。なんか気抜けだな。

遠藤:いや、代表とかはさすがにオーラだったけど、それ以外は特に——あの白取って何あれ? 梶原兄:は? はあ—— 遠藤:ああいうのうまく使えばすぐ上いけそうだな。

セルーソ登場、遠藤を呼び止める

セルーソ:あ、エンドです。 遠藤:あ、うっす。セルーソ—— セルーソ:よろぶち殺すぞ。

遠藤、固まる

セルーソ:白取さんが甘くて優しいからって、さっきのは見過ごせないな。 遠藤:あ、いや、今から—— セルーソ:選択肢を与えよう。すぐ選ぶといい。1. 改心した後やめる、2. 再起不能になった後やめる。 遠藤:———— セルーソ:さあ早く——死体は喋れないからね。

翌日——遠藤、白取父に頭を下げる

遠藤:白取さん。また何か——あ、いや、先ほどは舐めた態度取ってしまってすいませんでした。え、あの、これから一生懸命尽くしますのでよろしくお願いします。 白取父:ええ、よろしく—— 遠藤:なんかよくわかんないんだけど失礼します。

遠藤、去った後——セルーソと白取父

セルーソ:心を入れ替えたみたいですね。 白取父:さあ——きっともう犯罪者前じゃないからですよ。


シーン5:回想 ドレスコード導入

場所:ラマージュ オフィス 登場:セルーソ, 成田代表

セルーソ:任せていただけるなら——考えがありますよ。 成田代表:—— セルーソ:追い出せないなら——入れなければいい。

ラマージュ入り口——週末の夜

セルーソ:どうぞ2人——よろしく。 入店拒否された客:入れないですね? セルーソ:入れないです。 :なんで? 服装が——え、これ普通の—— セルーソ:何それ? おい、早く。次の方。 別のグループ:ちょ、2人どうぞ。な—— セルーソ:ドレスコードってやつです。これで客層は良くなりますよ。 白取父:で、でもこれじゃ客数が—— セルーソ:1ヶ月を待っていてください。今よりも入りますよ。

1ヶ月後——ラマージュ入り口に長蛇の列

スタッフ:凄まじい並びになってきましたね。 セルーソ:六本木は噂がすぐ広まるから——1ヶ月もかからなかったですね。 スタッフ:でもうちそんなものに明確な基準なんて儲けてない。だからいいんですよ。 セルーソ:え、曖昧だからこそ入れるか不安になるし、試したくなる。さらに入れた者は優越に浸れる。 スタッフ:—— セルーソ:要は人間の心理を利用しただけですよ。


シーン6:回想 遠藤——改心後

場所:ラマージュ フロア 登場:遠藤, 梶原兄, 三浦支配人(山本耕史)

梶原兄:お前どうしたんだよ急に、白取にビビってよ。あれは完全に—— 遠藤:いや、俺はもう白取先輩に尽くすからさ。 梶原兄:何それ? あんなの別に何も——

三浦支配人、遠藤に声をかける

三浦支配人:うちがドレスコードや女性同伴を初めて導入したのは知ってるよね。 遠藤:はい、もちろんです。 三浦支配人:あれを考えたのは彼だよ。 遠藤:ええ、マジか。そうには見えないけど。

三浦、セルーソに話しかける

三浦支配人:セルーソさん、珍しいですね——私に声をかけるなんて。 セルーソ:敬語はやめて欲しいって言ってるじゃないですか。年上なんだし。 三浦支配人:逆になぜ敬語? 白取さんとはほぼ同期ですよね。 セルーソ:なんとなく——勘ですかね。そんなことより、なぜ白取君を持ち上げ続けるんですか? 三浦支配人:—— セルーソ:冷たいようかもしれませんが、この業界ある程度自己責任なのでは? 三浦支配人:—— セルーソ:私はね、基本人は性悪説だと思ってきた。優しすぎたり信じすぎると人はそこを利用してくるから、ある程度自ら柵を講じるべきだと——そう考えてきた。 三浦支配人:—— セルーソ:だったらなおさら——ただ根っからの性格上、それが全くできない人間が稀にいる。それが彼だ。私はそんな人間が損するのが嫌いでね。 三浦支配人:なるほど。でもそれは単に弱い人間である可能性だって—— セルーソ:おいおい——

フロアでトラブル発生。白取父、謝罪対応中

怒る客:ちゃんと謝まれよ! さっきから—— 白取父:ああ、すいません。大変申し訳ないです。あ、え、私の責任ですのでクリーニングは当然こちらで—— :ああ、いや——ごめん。事情後でいくから一旦ちゃんと一緒に——謝罪しよう。 白取父:大変申し訳ございません。 :まあ、別にちゃんと言って聞かせなよ。

後片付け——若手スタッフとの会話

若手:嫌じゃないんですか? え、あんなにへこへこしなくても——プライドとか—— 白取父:何言ってんの? 何年このギラついた世界にいると思ってんの? え、僕は強くはないけど——謝罪力なら誰にも負けないよ。謝罪の白取だからね。

白取父のモノローグ(心の声):

もう15年か——こんな世界でも、僕は僕のやり方でやってきた。

セルーソ(白取父を見て):本当に揉めそうになったら頼む。君強そうだから。もしくはセルーソ君頼って。え、私にはない真っすぐな気持ちを持っている。え、あれを見てよっぽどかっこいいとは思わないかい?


シーン7:回想 女性同伴条件導入

場所:ラマージュ フロア 登場:白取父, セルーソ, 三浦支配人

成田代表:女が足りねえ。正確には野郎が多すぎんだ。何かあるか? セルーソ:—— 白取:女性をもっと頑張って呼び込むとか? セルーソ:—— 成田代表:俺は毎回手抜きだって言ってんだろ。頑張れよ! セルーソ:いや、実際他店舗で女性を加熱している——金を払ったり専属で囲ったり、中には他とこに紛れて客を引き込んでるクソだっている。 成田代表:—— セルーソ:ただ——逆にこちらが条件を設けるというのはどうでしょう。男性が多いなら——入場制限を設ける。 成田代表:減らしてどうすんだよ。 セルーソ:できればこんなことに金は使いたくねえが——他がそうするのなら、制限というより条件を設けるというのは。大胆な策ですが、白取さんの案は我々の今の人気と勢いなら可能かと。

ラマージュ入り口——新しいルール適用

スタッフ:女性同伴じゃないと入れないので—— 男性客:女も連れてこれねえよ! セルーソ(モノローグ):女性と一緒に入店する。これが条件だ。 白取父:でもそんなことしたら身内だらけになるのでは? セルーソ:逆です。むしろこれは彼らの手助けとなる。うちに入るため仕方なくという同伴財布ができますからね。なぜか人はその方が思いきれる。 白取父:—— セルーソ:男性客というのは男性のみの客と——白取さんが伝えたかったのかと。 白取父:え、そうだったんだな。

店外——外のダンスフロア

セルーソ(モノローグ):外で一般客——男は女性を必死に呼び込み、対価として女性はより貢献を受けられ、店は一切お金を使わず女性比率を上げられる。そう、白取さんは考えたんですよ。


シーン8:回想 バブル絶頂期

場所:ラマージュ VIPフロア 登場:セルーソ, 成田代表, VIP客, 若き樋口父

画面テロップ:「バブル絶頂期——六本木 ラマージュ」

VIP客:みんなお金に余裕があるから活気すごくない? まあ僕ももっといい時計買おっかな。 別のVIP:ところで大丈夫ですか? 何が——さっきもたれかかってる柱。本物の木みたいですよ。 スタッフ:ええ、内装に10億以上かけたらしいですからね。

VIPフロア奥——樋口父(渡辺謙)が挨拶に来る

樋口父:忙しいのに来てくれたんだね。どこも賑わってるとはいえ、ここはすごいね。 セルーソ:どうも——こいつまだ若いけど俺んとこで働いてて——初めまして、美者と言います。セルーソちょっとこいつと見てもらうわ。 樋口父:何かあればいつでも。近くのアーリエって店の店長です。え、他の店と繋がってんの? セルーソ:いろんなとこに顔出してますからね。

白取父、ビシャと話す

ビシャ:異常だと思いませんか? 白取父:何が? ビシャ:私が元々外国人だからか——この状況が醒めて見えるのかもしれません。言葉で表すなら——金が回りすぎている。 白取父:何それ? ビシャ:明らかにお金に対する思いや扱いが普通じゃない。景気が悪くなるとか? まさか—— 白取父:分かりません。それがしかもいつかも—— ビシャ:え、じゃなおさら考えたって意味ないじゃん。何でかもしれないし。 白取父:—— ビシャ:つまり——今かも? セルーソ(割って入る):お、今——感じなかったか?何——

揺れ——便所が止まるほどの衝撃 店内が一瞬静まり返る

セルーソ(モノローグ):この時、誰もが気づいていた。永遠に続くと思われた時代に——終わりが近づいていることを。


シーン9:回想 成田代表の引退

場所:ラマージュ オフィス 登場:成田代表, セルーソ, 白取父

成田代表:俺——代表やめるから。 白取父:え? 成田代表:で、お前が次やれ。めんどくせえからもうはっきり言う——駅なんてえんなよ。 白取父:え——ちょっと待って——突っ込みどころが多すぎると言いますか——なんで急に——

成田代表、セルーソを呼ぶ

成田代表:セルーソ、ちょっといいか。どう見る? この店。 セルーソ:いや、六本木のディスコ界隈は——本音と建前どっちがいいですか? 決まってんだな。株価暴落とはいえ——23、3年くらいはこの勢い持つでしょうね。ただ——時代の流れには逆らえない。 成田代表:—— セルーソ:やめられるのですか? 成田代表:ああ——引き際は肝心だ。お前の言う通りこの感じは続くだろうが——ピークは怖ええだろうな。やめて何を——ディスコ以外の事業をやってみようと思ってな。しかも今度は自分一人の力で。 セルーソ:なるほど。 成田代表:で、本題だ——お前が代表を継げ。 セルーソ:私ですか? 成田代表:直接はっきりとは言わねえが、上層部はお前を認めている。つか、そもそも俺がやめるときは箱ごとやめると思うけどな。 セルーソ:私はまだ立場上、就任することは——それに——やりたいこともある。 成田代表:—— セルーソ:ありがたい話ですが、時期的に——三浦に継がせようと思ったが、あいつ——あいつで裏でディスコを立ち上げるみてだからな。 成田代表:三浦か。ああ、フェリックスって言ったかな。 セルーソ:もし——成田代表が問題なければ——の提案ですが。

翌週——店頭 スタッフミーティング

画面テロップ:「ラマージュ 新代表 白取就任」

セルーソ:この度、代表取り締まり役に就任しました。 スタッフ一同:——すげえ。31で飛び級——代表か。 白取父:ま、一部の人は裏の事情を知ってるかと思いますし、元々僕より年齢も役職上の方々もいますので、僕自身は普段通り——ってことで、じゃあよろしくお願いします。

成田代表、白取父にブローチを渡す

成田代表:あ、そうだ。ほれ。この六本木の歴代が受け継いできたブローチだ。やるよ。 白取父:え、いいんですか? 成田代表:別に誰も見てはしねえし。捨てだって構わねえぜ。 白取父:—— 成田代表:60年代からあるらしいから、そいつが一番六本木を見てるのかもな。重役に立つ時もあるだろうから——ま、頑張れや。


シーン10:回想 セキュリティ導入

場所:クラブ「フェリックス」 登場:セルーソ, 三浦支配人, 白取父, もっさん(梶原弟)(大沢たかお)

画面テロップ:「バブル崩壊後 フェリックス」

三浦支配人:おかげ様で出資元が大手商社っていうのもあって。イメージもいいし、かなり宣伝できてるよ。 セルーソ:そこの人間と代表で君が実質的支配者なんだよね。 三浦支配人:はい。代表は形だけですので——一応私はこのトップですね。 セルーソ:おいおい、俺と正反対やんけ。

三浦支配人:よく見たら——梶原君の弟じゃん。この前店に来てさ、すんごいギラついてるからつい目に入っちゃうんだよね。 セルーソ:確かに—— 三浦支配人:最近入ったばかりなんだけど、もう主任にあげようかなと思って。 セルーソ:え、僕が何年もかけて言えた役職をもう—— 三浦支配人:うちも実力主義だからさ。でも——あの勢い、どこか脆さを感じるな。 セルーソ:うん——確かに脆さだね。 三浦支配人:猛者の梶原——もさの梶原——何それ? セルーソ(微笑む):白取さんの真似です。

フェリックス スタッフルームで——セルーソと三浦

三浦支配人:そういや、さっきから気になったけど、あの人たちは何? セルーソ:実はうちが盛り上がってる大きな要因だよ。 三浦支配人:—— セルーソ:私が集めた信頼できる人たち——また信頼できる人たちが集めた者たちの「概念」を導入したんです。 三浦支配人:概念? セルーソ:元々到底兵隊だったりバリバリ働いてたサラリーマンなんだよね。 三浦支配人:え、つまり——武闘派じゃない? セルーソ:そう——揉め事や制圧に特化した専門部隊。 三浦支配人:黒服たちは接客や売上に集中できる。なるほど。 セルーソ:用心棒専門——複数名正式で雇う、セキュリティの導入です。

フロア——入店拒否される若者たち

警備員:2人ずつ——どう見ても若いよな。身分見せてもらってもいい? 若者:なんで? 警備員:聞こえませんでした? 身分見せて。 若者:あ、すいません。持ってないですね。 警備員:じゃあ残念ながら入れないね。酔っ払いすぎてるんでもう——退場してもらって。 三浦支配人(セルーソに):——確かに楽だな、これは。めちゃくちゃみんなの負担が減ってる。

セルーソ:こんなに馴染むならなんで今までやってこなかったんだろう。 三浦支配人:私が聞きたいぐらいですが——主に2つでしょうね。一つは——そもそも黒服が強すぎた。用心棒としての機能が各スタッフたちに備わっていた。 セルーソ:そうだったね。僕以外—— 三浦支配人:2つ目は導入する文化や慣例が今までなかったため信用できなかった。 セルーソ:私の時のように個人単位の単体での契約——セキュリティ組織としてではない。制圧やある程度の権限を一任しますからね。店とセキュリティに信頼関係がないとそもそも成り立たないんですよ。 三浦支配人:例えば悪意を持った人間を10人セキュリティとして雇った場合、店はどうなると思います? セルーソ:考えただけでもゲロ吐きそう——半ギレし始めて気づいたら乗っ取られるんじゃないかな。 三浦支配人:そう——だから導入するにはまず慎重になる必要がありました。


シーン11:回想 ロッシ登場

場所:フェリックス フロア 登場:セルーソ, ロッシ(山田孝之), 三浦支配人, 白取父

ロッシ、フロアをうろつく——セルーソが気づく

セルーソ:セルーソ君、あの子って誰か分かる? スタッフ:いえ——セルーソさんが知らないってことは誰かの紹介かな? セルーソ:あの——はい。誰の紹介で入ってますか? ロッシ:いや、誰の紹介ではないですけど。僕個人でやってまして。 セルーソ:すまないが今すぐ—— ロッシ:あんたがセルーソかい? ここのセキュリティ会を仕切ってるドンってのは—— セルーソ:私から一切そんなざれ事を放った記憶はないが。 ロッシ:俺もある程度自信があんのよ。あんた倒して名乗ってやろうか? セルーソ:やめといた方がいい。 ロッシ:なんで? セルーソ:おそらく二回り離れているだろう——あまりにも差がある。 ロッシ:なんだ年齢を気にすんのかい? ま、さすがに俺もな——ばかりのおっさん相手に—— セルーソ:いや、逆だね。20以上離れたものに惨たらしくやられたとなると——今後の君がかわいそうだろう。 ロッシ:どういう意味で? セルーソ:今の私の日本語はそこまで分かりづらかったとは思えないわ。

テーブル——ロッシ着席

ロッシ:すげえな。やっぱあんた噂通りだわ。俺は藤岡史郎。趣味で用心棒を始めたものだよ。みんなからロッシって言われてるぜ。 白取父(セルーソに小声で):確かに変な人増えてんのかな? セルーソ:ちょっと一旦外で——出ようか。

店外——ロッシを囲んで

セルーソ:あの子——やっぱり雇うの? 白取父:ひとまず受け入れようかと。 セルーソ:でもあんな挑発的だったのに—— 白取父:最初から敵意はありませんでしたよ。シンプルに彼は強い。はっきり言って普通にやり合ったら私も勝てるかどうか。 セルーソ:マジか? 白取父:それに彼は「趣味で始めた」と言った。それが何事においても興味関心に勝るものはありません。唯一無二です。 セルーソ:なるほどね。ただ彼の危険な点——直すべき点をあげるとするなら—— 白取父:——

セルーソ、ロッシに問う

セルーソ:藤岡君——ロッシでいいですよ。なんでうちに来たの? ロッシ:どんなもんか見てみたかったんですよ。え、用心棒を束ねる組織ってある意味武力の塊みたいなもんでしょ。もし発案者が悪人だったらひねりつぶそうと思って。一方で大元自身が軟弱もしくは短絡的だったら——下にやばいやつがいても乗っ取られますからね。試してみたかったんですよ。 セルーソ:で、どうだったの? ロッシ:先なんかどちらもクリアしておりました。 セルーソ:そりゃそうか—— ロッシ:あえて挑発してみましたし、話の途中で視線を外したのに乗ってこなかった。それどころかこっちのペースをかき乱してきました——あの短い間にそんな駆け引きがあったん? 白取父:僕が言うのもなんですが、かなりヒヤヒヤし抜けてますね。あ、怖かった。

店の外——騒ぎが起きる

スタッフ:あの子——後ろにやってる。盗まれるからやめてって言ってるのに—— ロッシ、被害者と犯人を捕まえる

セルーソ:ロッシ君、何が君をそんなに駆り立ててるのかな? 正義を執行したいなら他の道もあるのでは? 警察とか—— ロッシ:いやいや、柄じゃないっすよ。僕はこの仕事が好きなだけで—— セルーソ:それにしては強い意思を感じるが。 ロッシ:六本木に来る前——ある小さな店で用心棒をやっていました。店の近くで女生徒を陵辱する事件が起きました。状況証拠的に99%犯人とされる容疑者は——結果不起訴で終わった。 セルーソ:—— ロッシ:当時は司法がそう判断するなら——僕らがどうこういうスタンスではないと判断しました。容疑者はのうのうといつも通り遊びに来ていました。帰り道——そいつは酔っ払った勢いで第二の被害者を産んだ。もしかしたら表に出てないだけで第二じゃないのかもしれない。 セルーソ:—— ロッシ:今度は証拠も残っていたため実刑判決が下された。その際に最初の被害者の証拠も偶然出てきて同一人物による犯行であることが判明。夜のネットワークは警察とは違った情報を共有する——やつがやったことは分かっていた。分かりきっていた。だが委ねてしまった。だから自分なりの正義を執行しようと。今でもあの時——再犯防止すれば第二の被害者——もっと言うならその店での振る舞いから最初の被害者を生み出す前に手を打つべきだったと——後悔しています。未来のことなんか誰にも分からないだろう——

白取父とセルーソの会話(別の日)

白取父:聞いたよ。セルーソ君から。正義に執着してるんだって。 ロッシ:—— 白取父:君はセキュリティを趣味で始めたんだよね。それは元々好きだから——楽しいからでしょ? 正義も制圧もいいけど——もっとさ、自分自身が楽しくなるように生きなきゃだめだよ。命は有限なんだから。


シーン12:回想 白取の引退——館山への継承

場所:ラマージュ(後のホワイトボックス) カウンター 登場:白取父, 館山(林遣都), セルーソ

画面テロップ:「1990年代 後半——ホワイトボックス」

白取父:最近人が少ない気がするね。 セルーソ:地下鉄であんな物騒なテロ事件もありましたしね。 白取父:関西の方もあったし——なんだか不穏ですね。

病院のシーン——白取、入院中

白取父:お疲れ——あ、館山久しぶりです。大丈夫ですか? 館山:いえ、今回も——いや、いなくても何の問題もありませんでした。 白取父:あ、そうですか—— 館山:大丈夫ですか? 入院してた——そうですか。

病室——白取父と館山

白取父:そういや入院してる時さ、すごく気が合って仲良くなった奴がいて——まだギリ10代なんだけど——話したらどうしてもここで働きたいって。白取さんさえよろしければ—— 館山:もちろん。

店に戻った白取——ロッシがサポート

ロッシ:お疲れ様です。今日は白取代表のそばにでも——いいですか? 白取父:え、なんで? ロッシ:色々と学ばせていただきたく。 白取父:いや、僕から学ぶことなんて何もないよ。 ロッシ:え、是非とも。 白取父:そこまで言うなら——代表としての活躍っぷりをしっかりと見るといい。

店の隅——白取のモノローグ

白取父(心の声):僕自身は動く気満々なんだけどさ、一応代表じゃん。見栄的にあんまり動かないようにってセルーソに言われてるから——僕を見ても何もないって。

トラブル発生——セルーソと白取の連携

セルーソ:すいません。うちはどんな肩書だろうがルールさえ受け入れてるが——暴れるんなら今すぐ—— 白取父:代表。 セルーソ:—— 白取父:今からこいつらを退去させて閉め出そう。 セルーソ:被害者は出てないのか? 白取父:はい。出ておりません。 セルーソ:じゃあ君たちは怪我してない? トラブル客:—— セルーソ:よかったな。お前ら——代表の懐の深さに感謝してろよ。

静かになったフロア——ロッシに話す白取

白取父:今日も仕事した。なんですか今のは? 僕は謝罪の白取だからね。ああ、やって代表が許すフリでなんかいい感じになるらしい。売上的にも治安的にも。 ロッシ白取父:聞いたよ。セルーソ君から——正義に執着してるんだって。 ロッシ白取父:昔とある店で——暗い思いをしたんだってね。君はセキュリティを趣味で始めたんだよね。それは元々好きだから——楽しいからでしょ? 僕だってディスコは好きでこの業界に入った。正義も制圧もいいけど——もっとさ、自分自身が楽しくなるように生きなきゃだめだよ。命は有限なんだから。

別の日——成田代表が店を訪れる

成田代表:なんだか穏やかになられましたか? セルーソ:ディスコから離れてすっかり俺も大人しくなっちまったよ。やっぱ環境って性格に影響すんだろうな。 成田代表:代表うまくやってんのか。 セルーソ:はい。うちがまだあるのも彼の存在が大きいです。 成田代表:本来ならもう23、3年だったもんな。ま、お前のことだ。当然それを見越して白取を代表に据えておいたはずだ。ただ体調の方が——そうか。昔から雑魚ばんとは思ってたが——こればっかりはしょうがねえな。ま、引き際なんて周りがなんて言うか最終的に本人が決めるもんだ。

白取父、館山に腕時計を託す

白取父:館山君——ここはもうすぐ閉じるけど、次の店舗ではよろしくね。 館山:そうですね。白取さんには—— 白取父:いや、僕はここまでだ。すまないね。 館山:—— 白取父:やはりもう体が——ま、それもあるけど——子供が生まれるんだ。元々僕のせいもあって諦めてた。身を固めて新たな事業の準備もしていた。そんな矢先——奇跡が起きたみたい。 館山:—— 白取父:命ある限り最後までディスコで働こうと思ったけど——改めたよ。残りの人生は最後まで家族に——って言うのかな。 館山:そうですか—— 白取父:昔君の助言でバブルの時に稼いだお金もあるから——なんとか大学までは行かせられるかな。これは君に——ずっと思ってたけど、やっぱこれは君がつけておくべきだよ。 館山:—— 白取父:このブローチと共に——この六本木をどうか見守っていてね。それと館山君を頼んだ——入院中に知り合ったと言ってましたよね——君にはまた辛い思いをさせてしまうかもしれないね。 館山:いえ、僕とキャラは似てるかもしれないけど——まだ若いのに僕よりずっと人を見る目があるし、優秀だと思うから。それに——強い意志もあるし。

白取父、館山に腕時計を渡す

白取父:これあげる。ま、正直そんな高価なもんじゃないけど。 館山:いいんですか? 白取父:それも僕と共に歩んできたんだ。少しでも君の思いや意思を乗せていってくれると嬉しいよ。 館山:分かりました。必ず——伝えていきます。 白取父:うん。先に——上で待ってるね。


シーン13:現代 XTOKYO

場所:XTOKYO バックカウンター(セルーソたちを見送った後) 登場:白取, 栗田

現代に戻る——時計の針が現在に

蛯沢:お前らも実は気づいてないだけで誰かしらの意志や思いが受け継がれてるんだぜ。 栗田:さっきの蛯沢さんの話——沁みましたね。 白取:なんか響いたよね——しとさん、どうしてクラブで働こうってなったんですか? 確か元々ITの営業とか言ってませんでしたっけ? 蛯沢:いや、ま、大した話じゃないよ。

白取の回想モノローグ(若き日):

白取(若き日):白取! 今日も目標取れなかったのか。すいません。何回聞いた? やる気あんのかよ。絶対許さねえからな——辛い。もう会社行きしたくない。 白取の母:そろそろご飯よ—— 白取(若き日):お母さんごめん。せっかく入ったけど——もう限界。もう楽しそうな仕事しなって? 白取の母:そんなんないし。入ってみなきゃわかんないよ——まあいいや。明日も早いからもう寝るね。 白取(若き日):(母が置いていったアルバムをめくる)——ああ、楽しそうな仕事ね。 白取の母の声:そういや、これお父さんのお仕事——ディスコ。今ではクラブっていうのかな? 結構テーマパークって感じで——

回想から戻る

蛯沢:てな感じで——勢いで働き始めた感じかな? 栗田:ああ、いいっすね。 セルーソ:そう—— 栗田:もしかしたら白取さんのお父様からも僕たち思いや意思が受け継がれてるかもしれないっすね。 白取:いや、でも——20年以上前の話だし、クラブ何個あると思ってんの? それに父さん自分の役職言いたがらない感じからして、大した役職じゃないと思うよ。セルーソさんみたいに名を残してないし——

セルーソ、静かに微笑む

セルーソ:でもまあ——わずかでもいいからそうだといいな。 白取:——

ナレーション(白取の心の声):

あの日から——時々思う。もしかしたら本当に——誰かの意思や思いが受け継がれて、今の自分があるんじゃないかって。

画面テロップ(エンドカード):

「受け継がれるものは——形だけじゃない。」

——シーズン2 前編「継承」 終わり


主要継承アイテム(本編で描写)

アイテム継承元 → 継承先シーン
代表のブローチ成田代表 → 白取父(→ セルーソへ続く)シーン9
金のネックレスセルーソ → (ビシャへ続く伏線)シーン2
白取の腕時計白取父 → 館山シーン12
「謝罪の白取」の哲学白取父 → 遠藤(→ 館山へ続く)シーン6
セキュリティの概念セルーソ → ロッシシーン11

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